ウソのようなホントの話です。
今は、施設に入所されて10年以上たちますが、お一人暮らしのUさん。
妻の担当地域の方でした。
「毎月電気屋さんが来てくれるからウチの電球切れたことないねん。」とおっしゃいます。聞けば、毎月電球を交換しに来るそうです。
「それは、悪徳とちがうの?電球なんか1ヶ月で切れないよ。絶対おかしい!」と言っても、「いいの、いいの」と意に介しておられません。
人の良い方なので、良いように騙されているのかと思っていました。
ここからは、僕の推測も含めての話です。
Uさんはお子様もおられず、ご主人にも先立たれて、長い一人暮らしの生活です。
聞けば、その電気屋さんは、仕事が終わるとUさんの家で2時間Uさんの話を聞いて帰られるそうです。
Uさんは、話し相手としての価値を電気屋さんに見いだしていたのでしょうね。
僕は、「電気屋さんと対決したろうか」と勝手に憤っていたのが、アホみたいです。
だって、電気屋さんが来なくなったら、Uさんは喜ぶどころか、悲しむことになるところでしたもの。
2時間も話し相手になることは、近所の方でも、ヘルパーさんでも出来ないですから。
電球交換代金の数百円はムダ金かもしれない。
でも、話し相手としての価値は価格には計れない。
価格と価値は違う。
そして、その価値はその人の状況によっても違う。
今なら、僕にも分かります。
移動スーパーには高齢者の孤立を改善できる仕組みがあります。
これは、近所の方々一帯となって作り上げる仕組みです。
買い物に不自由されていなくても、意気に感じて、来ていただいている方。
「お隣の○○さんの様子が気になるから」と、一緒に買い物に付き合って下さる方。
こういった方々のさりげない自然な支援が温かいです。
いっつも車の中で泣けてくるんですよね。
Uさんは電球が1ヶ月で切れないことなど、僕がエラそうに教えてあげなくても、きっとご承知だったんだろうと思います。